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第五章 採 用 ( まとめ ) pdf
2003 年 5 月 27 日
1−首尾一貫した雇用戦略を求めて
適切な人事戦略は、企業の状況や目的などによって異なる。雇用戦力は採用、配属、処遇、能力開発、昇進、退職と入口から出口に至るまで 首尾一貫したもの になっていなければならない。
2−採用制度における新しい動き
日本の雇用制度は 社員に対する雇用保障 を行うことを基本に組み立てられてきた。従業員に雇用を保障し続けるためには、常に 柔軟な対応 が必要である。
例えば頻繁な配置転換は、新しい職務に挑戦する慣習を創り上げるのに貢献し、余剰人員を極力抱え込まない仕組みも作られてきた。 従業員として、解雇を避けられるために、または企業が成長しそれが自分の経済的豊かさにつながるために、配置転換や残業などの方法を受け入れることもありうる。 逆に、こうした雇用慣行がいきすぎると、いろいろな問題が生じる。たとえば、スペシャリスト養成の困難、人件費の高めること、専門的技能を持たない人の再就職の困難、長時間労働の辛さ、という問題になった。
いま企業は社員の雇用保障とこれらの問題の間に挟まって、いかなる人事制度を採るのかという新たな解決策を求める前に、まず他人任せではなく、もう一度どのようにして競争力の高い組織を再構築できるかを検討ことをしなければならない。
長期雇用制度は採用の面にも、大きな影響を与えている。急速な企業成長に対して、中途採用よりも、新卒者の一括採用方式(一斉に採用し、集合教育の上で配属先を見つけるといった方法)が費用の節約にもつながり、平均的質の高い新社員採用を優先させることが企業の利益にもつながった。
しかし、企業は潜在的能力を重視し、いわゆる入試偏差値の高い大学から採用するといった無難な選択に陥りやすいという問題、そして学生は就職を準備するため、どんな基本的な勉強したらよいのかわからないといった問題が生じている。
最近は、採用方法においても新しい動きが見られるようになった。たとえば、
1 .新卒を減らし、特定の仕事を経験した中途採用を増やそうとする企業の増加。
2. 専門性の高い職種について、職種別採用試験を行う企業の増加。
3 .部分別採用を実施する企業の増加。
こうした新しい方法を導入する企業が増えている背景のポイントについて、「人事経済学」の視点から考えて行く。
3−採用人数の決定
新卒採用の抑制
最近若年人口は減少し続けるので、新卒者採用のための企業間競争は激化している。景気低迷のあおりを受け、中途採用やパート労働者を増やし、新卒採用を抑えようとする企業が増えている。新卒市場は厳しい就職難の状況になっている。
近年、大学入学者数は拡大し、卒業者の数も増加している。短大や専門学校の新卒者の数が減少している。そして、高校を卒業して就職する学生の数は大幅に減少している。特に、新規採用者数の推移をみると、短大卒、専門学校卒・高卒の採用抑制がいっそう厳しい。そうした変化は単に景気の影響だけではなく、技術革新や産業構造の転換といった構造的要因に左右されている可能性がある。
既存の従業員と新規応募者を非競争集団とする理由
企業は何を基準に採用者数を決めているのか。新しい仕事や部署を継続するか、新設設するのかを決めなければならないときには、基本的には人員を増やすことによるコスト・パフォーマンスが問題になる。 人員を減らすことは、これまで雇っていた人を解雇し、またそれよりも少ない人を採用することによって全体の人数を減らすことを考えられる。 多少社内で教育を受けた人を解雇し、新しい人を雇った場合、また最初から教育をやり直さなければならない。 また、社内での経験が必要とされないとしても、すでに雇っている人と新規応募者は別の非競争集団であるとみなしたほうが企業にとって都合がよいといった点も重要である。もしそうしないと、既存労働者にとって優秀な応募者の登場は手強い競争相手の出現を意味するから、そうした人を採用することに強い抵抗を示すであろう。 これを避けるため、いくつかの対策が考えられる。
優秀な人を雇い、企業業績が上がれば、自分の給与もあがるといった報酬方法。
雇った労働者に雇用を保障することによって、新規採用者との間に壁を設け、両者を競争集団であるとは考えさせない方法である(就職年次別の雇用管理)。
効用調整は新規採用の人数を調整することで実施しようとすれば、景気の影響は新規採用者に強く現れやすいと考える。
採用人数の決定基準
企業の採用人数は、採用される人たちによってもたらされる収入とそれに伴って発生する費用の大きさを比較することによって決まる。
新規採用によって新たに発生する費用は、基本的に採用する人数と一人あたりの給与によって決まる。(費用と人数は 比例的に 増える) これに対して、収入のほうは、採用人数を増やしていくにしたがって、追加される一人あたりの企業収入は低下する。即ち、 採用人数の少ないうちは収入が費用を上回り企業利潤は増加するが、人数が増えていくに従い収入が費用を下回るようになると、採用をストップする 。
ここで重要なのは、採用に伴って発生する総費用と総収入と総収入で行うのではなく、採用者数が増えていくのにしたがって追加される一人あたりの費用と一人あたりの収入で行うという点である。 企業利潤を最大化にするには、採用者を増やすことによって追加的に発生する一人あたりの費用と一人あたりの収入が一致するところで採用を止めなければならない。
しかし、単純に採用されてすぐに発生する収入と費用のことを考えるだけではなく、採用した人が就職してから辞めるまでの企業にもたらす収入と費用を比較しなければならない。人件費が固定費化されるリスクを回避しようとする企業は、そうした人の採用人数を抑えて、派遣労働者を増やしたり、有期雇用者を増やそうとすることになる。
4−採用基準の決定
企業は優秀な人を採用したいと考えるときに、優秀であればあるほどよいというものではなく、その人が仕事に就いたときに、企業にもたらすであろう収入を供与で割り、給与1円あたりの収入を基準とし、それが高い人を雇うと考えている。
即ち
は基準である。
給与 1 円を払うことによって得られる収入の最も大きい人を採用することが、企業利潤を最大化することになる。 このことの重要点の一つは:仕事の内容が決まらない限り誰の給与 1 円当たりの生産性が最も高いかは決まらないことである。どの仕事でも平均的に生産性が高そうな人( all-round player )を採用されることになる。
日本における一括採用方式は、いろいろな仕事を幅広く平均的にこなせる人が優先的に採用される仕組みになっている。入社してから期待される役割が限定されなければ、この人がその仕事で高い生産性を上げる適任者であるかは分からない。
文科系の学生は一般常識や学習力を必要とする範囲の仕事であることは決まっていた。だから、企業の採用においては潜在的 学習能力 が重視され、入試偏差値の高い大学に合格した卒業生が人気企業に採用されて行った。企業は スクリーニング機能(選別効果) を期待するという状況が作り出された。
もしも、ある仕事において高度に専門的な知識が不可欠で、しかもこうした知識は短時間に身につけないものであれば、頻繁に配転するのは難しくなり、採用階段で配属先が分からないという採用方法は合理性を失うはずである。例え、理工系の大学院の卒業生は、ほとんどの場合、職種は限定されている。配属される以前からそれが求める基礎学力をマスターしてほしいと考える企業が増えている。それぞれの仕事で専門が問われるようになって来た。 このような変化にたいして、大量採用を行い、一定の質の保障された新卒者を一括して採用し、集合教育を行っていくのが企業にとっても合理的であった。
しかし現在、高度で専門的な知識が問われる時代になれば、職業経験の有無は生産性に大きな影響を及ぼすことが予想され、そして若者の学力が低下し、就職意欲が失われていると判断する企業が新卒を減らし、中途採用を増やす可能性がある。
最近、職種別、部署別の採用を行う企業が増えてきている背景は、個々人が自分の仕事を自分で選択したという意識が重要であるという認識が働いている。学校卒業後就職して 3 年以内に企業を辞めた人の割合はずっと高まっている。
職種別の採用が行われるようになれば、体験就業(インターンシップ制)は自分のやりたい仕事が何であり、それを実現するためにはどのような勉強をすればよいかが見えてくる。
給与 1 円当たりの生産性が採用基準であることは、企業業績との関連において重要な意味を持つ。しかし、どのような人を採用するかについては企業収益に何ら影響を受けないことである。それは、応募者間の相対的なランキングに変化は起こらないからである。
企業収益が悪化したから、応募者に提示する給与を引き下げ、質の悪い労働者しか応募してこない。それは更に業績を悪化させるといった悪循環を引き起こす。それを避けるためには市場賃金を守り、給与 1 円当たりの生産性に応じて予めランク付けされた人の中から、決められた人数を上位から採用して行くという方法を使う。
5−応募基準・採用方法の決定
企業がどのような採用方法を採るかによって、応募してくる人数は大きいに異なる。応募時間と費用が無駄にするや、不適切な人を採用と適切な人を不採用などの問題を解決ために、どのような応募基準を設けるのは重要である。
応募者が少ないと、給与など雇用条件を引き上げればよい。多数応募者が来ると、いくつかの応募条件をかけばよい。例えば、特定の資格を持っているのか、指定校制度をとったり、研究室を指定したり、こうした方法が有効である。
もし有効な情報がない場合、大きく分けて 2 つのケースを想定する必要がある。 1 つは応募者が自分の能力や適性について熟知しているケースと自分のことを知らないケースである。
自分のことをよく知っている場合には、本人に選択させる、いわゆる逆選択の手方をとることが考えられる。(企業は出来高給制―>自分の能力に自信のない人が来ない。しかし、入社後出来高を適切に評価する仕組みを作っておく必要がある。)
応募者が自分の能力や適正について知らない場合には、試用期間を設けたり、インターンシップ制を通じて応募者の適正を見抜く必要がある。
以上です。
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08/20/2004 18:04
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